NHKプロフェショナル仕事の流儀 豆腐つくり名人を見た!

率直に言おう。

この番組に興味があっても、豆腐つくり名人には、興味はないのではないだろうか。

僕もそうだった。

毎週録画しているけど、録画を削除しようと思っていたんだよ。

でも、ちょっと画面を見て引き込まれて、すべて見てしまった。

そして、感動した。

僕は、NHKを尊敬するよ。

だって、これほど一般受けしないと思われるテーマに真摯に取り組んでいる。

その名人は、埼玉在住の豆腐つくり4代に亘る名工だ。

名工といっても有名人でもなければ、お金持ちでもない。

言ってみれば、近所にある小さな零細の個人の豆腐店のオヤジさんだ。

その4代目は、代々に亘る豆腐屋をやりたくなくって、早稲田大学政経学部を卒業した俊英だ。

趣味は、原書でシェイクスピヤ・有名な歴史書を読む知的哲学者と言うべき存在だ。

汚い作業服を着て、その目はランランと輝いている。

どう見ても何の変哲もない豆腐屋のオヤジ。

しかし、インタビューをすると、シャイで朴訥な語り口で、豆腐つくりに宇宙を語る。

豆腐つくりの肝は一日の作業工程に約6時間ほどのうち、7~8秒の微妙な手裁きで決まると言う。

しかも、豆の種類や天候等により、微妙に条件が変わるため、その奥義は日々変わるという正に神の領域に位置づけられる匠の技だ。

その作業が毎回面白く、緊張すると言う。

その豆腐つくりの宇宙を語るときの名工の目は輝き、その口元からこぼれる珠玉の言葉は、哲学の箴言となる。

名工は言う、『生まれ変わっても豆腐つくりをやりたい、今の連続性の中で!』。

『今の連続性の中で』の意味は、今世の技術や知見を携えて未来世に生まれ変わり、更なる高みを目指したいという願いだ。

なんという高邁な理想であろう。

今までNHKプロフェショナルで様様なその世界での巨星や天才を見てきたが、生の連続性を踏まえて、更なる神の技ともいうべき領域に踏み入りたいと言い切った人は見たことがない。

着古した作業服を身に纏った名工は、今日もまた早朝から人知れず神の技を豆腐に降臨させる作業に没頭しているはず。

僕も今世に生きた証の爪痕を、この広大な宇宙の片隅で、誰に知られなくても自分の誇りを持って、残したいと不遜ながら思った。

あなたの今世の誇りは何ですか?

生まれ変わったら、何をしたいですか?