NHK教育TVで、バレンタインが弱小少年野球チームを1週間指導して、チームがどう変わるかという企画があった。
1週間後に全国的な強豪チームとのダブヘッダーがある。
指導方法は、ごくオーソドクスで何の変哲もない。
唯、英語での指導なので、通訳を介しているため子供たちへの言葉としての響きはむしろ弱いとの印象だ。
具体的指導方法は、基本を重視しつつ個性は尊重すること。
また、常に笑顔で積極的に取り組む姿勢を強調している。
更に自分のプレーに加えチームとしての繋ぎのプレーを大事にして、一連のチームプレーのレベルを上げることを目指している。
笑顔を強調するのは日本では珍しいが、あとはごくごく普通の指導だ。
本当に何の変哲もないドラマ性のない指導だ。
流石に1週間後の試合では大きな成果は望めないと僕は思っていた。
唯一変わったのは、子供たちの眼つきだ。
間違いなく本気になっている。
いよいよ本試合開始だ。
随所にいいプレーしたが、流石に相手はかなりの格上で、確か2:10くらいでコールド負けだ。
次の試合が凄かった。
延長戦でも決着が付かない大接戦7:7で引き分けだった。
勝ちもあった試合だった。
子供たちの中には、勝ち切れなったことで悔し涙を流す者もいた。
確かにチーム力も個々の力も上がっていた。
やらせじゃない。
マジな試合だった。
試合では、皆笑顔で前向きにプレーしていた。
諦めなかった。
試合後、バレンタインが親御さんたちに最後の言葉を贈った。
『子供たちは恐れを抱いてプレーしている。失敗すると親が悲しむと思って失敗することを恐れている。だから、積極的にプレーして失敗することを恐れないように見守て欲しい』
子供たちには、こう語った。
『笑顔で野球を楽しんで欲しい。どこまでも積極的に自分のプレーをしてほしい』
バレンタインの素晴らしい教えは、実に平凡で効果絶大であった!